カブトエビ

カブトエビ

カブトエビのプロフィール

和名:カブトエビ

学名:Triops

目:カブトエビ目

科:カブトエビ科

体長:2~3cm

分布:ヨーロッパ、アメリカ、アジア

環境:淡水(水田)

カブトガニならば、名前を聞いたことのある方も多いかと思いますが、カブトエビはいかがでしょうか?覚え間違いではないかと、疑う方もいるかもしれませんが、カブトエビは本当に存在している生きた化石なのです。飼育セットも頻繁には見かけないものの販売されています。では、生きた化石であるカブトエビについて。

カブトエビの生態について

カブトエビの出現時期

生きた化石の代名詞としてカブトガニがよく知られていますが、カブトエビもカブトガニとほぼ同期に地球上に出現した生きた化石です。祖先は化石の中でもよく話題に上がる三葉虫です。その三葉虫から進化を重ねて、カブトエビは今からおよそ2億年前から出現していたといわれています。それを裏付けるように、2億年前の地層からカブトエビの化石が見つかっています。因みに、2億年前には、中生代はジュラ紀にあたります。

カブトエビの形態的特長

どちらかといえば、カブトガニと形態が似ているといわれるカブトエビですが、極端に違う部分があります。それは、大きさです。カブトガニは成長を重ねるごとに大きくなっていき、大人が両手を使わないと持ち上げられない大きさ育つ個体もあります。しかし、カブトエビはそれほど大きくはならず、平均的に2~3cmで、大きくなったとしても4~5cmになれば中々のもののようです。また、甲殻類でありながらあまり甲殻類らしさを持っていないのも特徴といえます。

カブトエビの生態的特長

生きた化石。その名前が付くと、なんとなく長生きをする生き物のように思えてしまいますが、カブトエビは全く長生きしません。流石にセミほどは短命ではありませんが、カブトエビの命は平均的に1ヶ月です。これは、カブトエビの繁殖と関係してきます。

また、カブトエビの特徴としては、目があげられます。本来、トンボなどの虫が持つはずの複眼これをカブトエビはもっています。さらに、ガブトエビは複眼の間部分に正中眼というものを捉えることはできませんが、光を捉えることのできる目を持っています。そうするには、カブトエビは目を三つも持っているのです。

カブトエビの餌と捕食方法

植物質から、動物質のエサまで特に好き嫌いなくエサを食べるカブトエビは雑食性です。しかし、日本に生息しているカブトエビの大半は植物質のエサを食べて成長するものが多いです。その理由としては、カブトエビは水田において、稲の発育に悪影響を及ぼす雑草を食べるからです。このカブトエビの働きから、農家の方々からは「水田の草取り虫」と呼ばれて大切にされています。

カブトエビの繁殖方法

繁殖、産卵はカブトエビにとっては一世一代の大イベントになります。その理由は、カブトエビは産卵を終えるとその命の灯火を消してしまうことになるからです。カブトエビは、生まれてから一ヶ月で産卵し、そして産卵を終えると力尽きてしまいます。

そのため、非繁殖期にはカブトエビはずっと卵の状態で生活を続けます。実はこの卵が、カブトエビが2億年前から現代までその姿を変えずに行き続けることができた理由なのです。卵には、強い寒冷な気候や乾燥に耐えることのできる強度を持ち、何年間も卵でいつつけることができます。これによって、カブトエビは過去にあった氷河期などを乗り越えて現代までその種をつないできたといわれています。

カブトエビの飼い方

たった一ヶ月の命ですが、カブトエビを飼育することができます。過去に夏休みの自由研究のためのカブトエビの飼育セットが販売されたこともあり、意外と飼育したことのある方は少なくはないのではないでしょうか?飼育はとても簡単で、乾燥したカブトエビの卵を水に入れるだけで、数時間から一日で孵化します。そして、一ヶ月間の飼育の後、カブトエビは子孫を残してこの世を去ります。ですが、飼育していた環境(水槽)に卵を産んでいる可能性があるので、底に敷いてある砂などを乾燥させてまた翌年に飼育することも可能です。現在でも飼育セットは販売されていることがあるようなので、興味のある方は「生きた化石」を飼育してみてはいかがでしょうか?

カブトエビの生息地域と見られる場所

本来であれば、カブトエビは日本では見られない生物ですが、先ほど紹介した飼育セットを通してカブトエビは日本においても野生化しています。しかし、前述にもあったように、水田においては雑草の処理に効果を発揮するなど、特別有害な生き物としては認識されていないようです。しかし、だからといって逃がしていいというものでもありません。野生のカブトエビは関東、中部以降の西に多く生息しています。なので、あまり北海道や東北では見かけることの少ない生き物かもしれません。もし、自分の眼で見たいと思った場合には、飼育してみるのも一興かと思います。

カブトエビの種類

生息している場所によってカブトエビは大きく4種類に分けられています。その4種のうち、3種類のカブトエビは日本で繁殖しています。その日本で繁殖しているカブトエビは、アメリカカブトエビ、アジアカブトエビ、ヨーロッパカブトエビの3種類で、日本に唯一生息していないカブトエビの種類はオーストラリアカブトエビになります。最も多く分布しているのは、アジアカブトエビで、西日本であれば基本的には見られるのではないかと言われています。

この4種類のカブトエビは、パッと見たときには違いが分からず、同種に見えることもありますが、すべての種類ごとにその姿は違い、カブトエビと一括りに言っても、4種を比べて見てみると違いが見えてきておもしろいかもしれません。