ナキウサギ

ナキウサギ

ナキウサギのプロフィール

和名:ナキウサギ

学名:Ochotonidae

目:ウサギ目

科:ナキウサギ科

体長:15cm程度

分布:1500m以上の山地

環境:岩場や森林

標高の高い山地の岩場で顔をのぞかせるナキウサギの映像をテレビで見たことがある人もいるでしょう。ナキウサギという名前なのに、耳は短くてハムスターかネズミのような姿をした愛らしい動物です。このナキウサギも氷河期時代からいる生きた化石と呼ばれる動物なんですよ。ナキウサギとはどんな動物なのでしょうか。

ナキウサギの生態について

ナキウサギの出現時期

ナキウサギは新生代の第三紀末、250万年前の氷河期に誕生した哺乳類です。この時代に生息していた代表的な動物にマンモスがいます。現代に生きたマンモスはいませんが、ナキウサギは世界中の山地に今も氷河期時代の姿を保って生息しているのです。

ナキウサギの形体的特長

「ウサギ」と聞くと普通は耳の長いのが特徴ですよね。でもナキウサギの耳は長くなく、丸くて短い形をしています。体長も私たちがよく見かけるウサギよりもずっと小さく、15~18cm程度で、片手に乗るくらいの大きさです。尻尾も一応あるのですが、とても短くて小さく、体毛にうまっていてパッと見ただけではまるで尻尾がないようにも見えます。尻尾の長さは5mmほどしかありません。ナキウサギがウサギの仲間とわかった理由は歯です。ナキウサギの歯の数はウサギと同じ本数で、上の前歯が2重になっているのです。これはウサギの仲間の特徴なのです。また、ナキウサギはネズミのように動くのではなく、ピョンピョン跳びはねながら移動します。これらからナキウサギはネズミの仲間ではなく、ウサギの仲間ということがわかります。

ナキウサギの生態的特長

ナキウサギは氷河期から生き残っているので、寒さに強い動物です。そのため、ナキウサギは冬になっても冬眠しません。雪が30cmくらいなら外に出て、動き回ります。それ以上雪が積もったら、巣穴のトンネルの中を移動して生活しています。夏にためた餌を食べながら冬を越すのです。ナキウサギは縄張りがあり、縄張りに別のナキウサギが侵入すると戦います。ナキウサギは、オスとメスのつがいで同じ縄張りを共有しています。ナキウサギの寿命は短く、5~6年程度と言われています。エゾナキウサギは、他のナキウサギよりも寿命が短く4~5年です。

ナキウサギの餌と捕食方法

ナキウサギは草食動物ですが、高山植物の葉や茎、花やコケなどなんでも食べます。夏場は、はえている草を食べていますが、冬が近づいてくると巣穴の近くに集めて、近くの岩場の隙間や木の根の下などに食料をためこみます。その食料を冬の間に少しずつ食べながらを越します。

ナキウサギの繁殖方法

同じ縄張り内のオスとメスで繁殖し、1年に1度初夏に子どもを産みます。1回につき2~4匹の子どもをうむのです。子ナキウサギの成長は早く、9月頃になると親と同じ大きさになります。同じくらいの大きさになると、親は子どもを縄張りから追い出して、子どもは新たな縄張りを自分でつくって生活していきます。

ナキウサギの飼い方

ナキウサギは飼おうと思ったらできないことはありません。ナキウサギは、温度管理がとても重要です。夏場でも気温が12~15℃程度に保つ必要があります。人間が快適だと感じる20℃以上になってしまうと、ナキウサギは暑くて死んでしまうこともあるので、個人の家で飼うのは温度管理がとても重要になってきます。1年を通して室温を12~15度を保つ必要があるので、正直なところナキウサギの飼育は難しいでしょう。

ナキウサギの生息地域と見られる場所

ナキウサギは、暑いところが苦手で涼しい場所でないと生きていくことができません。そのため、多くの種類のナキウサギは標高1500m以上の岩場に生息しています。日本では北海道の中央部の山である大雪山系や日高山脈でエゾナキウサギを見ることができます。野生のエゾナキウサギを見るために、慣れていない人は登山が大変かもしれません。私は過去に旭岳に登ったことがあるのですが、残念ながらナキウサギを見ることはできませんでした。もし、ナキウサギを見たいと思ったら岩場をよく見てくださいね。夏場であれば毛色が岩と似ているので見つかりにくいです。

ナキウサギの種類(仲間)

私たち日本人が思い浮かべるナキウサギといえば、北海道に生息するエゾナキウサギです。これ以外にもアジアや北アメリカにもナキウサギはいるんですよ。ナキウサギ科に分類されているのは全部で約19種類です。(分類方法によって増える場合もあります)エゾナキウサギは、キタナキウサギの亜種に分類されています。ナキウサギは、種類によっては草原に生息するものと、岩がゴロゴロしている場所に生息するものに分けられます。いずれにしても標高が高い場所に生息しています。